セミナー後記

17時から始まったセミナーは、19時半に一応お開きとなりました。2時間半という短い時間の中に、様々な見方や新しい知見がギュっと詰まったものでありました。簡単にではありますが、先生方の講演や対談から「身体化された心」と「人工の脳」とその関係性について、まとめてみました。
両先生方はそれぞれのキーワードを、言葉や表現の仕方を様々用いながら説明してくださいました。そして、「身体化された心」と「人工の脳」を橋渡しするために、西垣先生は小説や、言語を用いたコミュニケーションシステムでアプローチされており、対する池上先生は、数理的なモデルを扱いながらも機械に「寄り添う」ことや、アートといった媒介を通じてアプローチされているといえるのではないでしょうか。
この表はあくまで簡単なものであり、どちらが重要であるとか、どちらの概念がどちらの先生の基盤であると言い切れるものでもありません。おそらく両先生方は「身体化された心」と「人工の脳」両方を見据えながらそれぞれの研究を通して、二つの概念を行き来されているのだと思います。
今回は後半の対談が「生命とは何か」といったことに焦点をあてたものになってしまいましたが、ほかのテーマでもこの表にあるような二項を用いた議論は可能であると思います。皆様も是非、自分の研究分野においては「身体化された心」と「人工の脳」に相当するものは何なのか、そこをつなぎ合わせるアプローチはどのようなものがあるのか、を考えてみてください。